まず、ボブという男がいたとします。
次に、ピアノを1000時間弾いたボブを登場させます。
便宜的に、一人目をナッシング・ボブ、二人目をサウザンド・ボブと呼びましょう。
サウザンド・ボブは、ピアノを1000時間弾いたという点以外は全て、ナッシング・ボブと同じ人生を歩んできました。
さて、
「毎日がより楽しいのは、どちらでしょうか」
これは少し抽象的で答えづらいので、具体的に、サウザンド・ボブのみが体験できることを考えてみます。
・下手でも、音楽のある暮らしに早くも満足する。
・久石譲が弾けるようになって、満足感でいっぱいになる。
・ある日、「あれ、クラシックって普通にいいな」と思う。
・音楽をしている人に、自然な敬意を抱くようになる。
・後輩の女性社員に「昨日は何をしていたんですか」と聞かれた時に、「昨日はずっと家でショパンを弾いていたんだ。引きこもりだよね。ははは」というおしゃれアンサーができる。
・そのおしゃれアンサーがきっかけで、彼女とコーヒーを飲みに行くことになる。
・クラシックあるあるで盛り上がり、楽しい時間を過ごす。
・いとも簡単に恋に落ちる。
・幸せになる。
・そんな幸せな日々の中にも、忙しさからすれ違いが起きる。
・二人とも不安になる。
・会話が少なくなる。
・ある朝、彼はショパンを弾いている。
・彼女はそれを聴いている。
・曲が終わる。
・「リズム、乱れてるよ」と彼女は笑いながら、「やっぱり私は、この人と一緒にいたいんだなあ」と思う。
いいなあ。